Windows 11で「PINが使えません」と表示されたときの詳しい解決方法ガイド
はじめに
Windows 11の起動時に「Your PIN is no longer available（PINが利用できません）」というエラーメッセージが表示され、通常の方法でサインインできないトラブルが報告されています。この記事では、2025年4月時点の最新情報をもとに、エラーの原因と考えられる複数の要因を解説しながら、段階的な対処法を詳しく紹介していきます。
このエラーが発生する背景と原因
PINによるログインが使えなくなる理由はさまざまですが、主にWindows Helloの構成ファイルが破損していることが原因です。特に「NGCフォルダ」というPIN情報を保存しているシステムフォルダが正しく読み込めなくなると、このエラーが出やすくなります。大型の機能更新やセキュリティパッチの適用後、設定ファイルが一部破損したり、互換性の問題が発生することが要因となることが多く見受けられます。
対処法1：MicrosoftアカウントでPINを再設定
最も簡単かつ効果的な方法は、新しいPINを設定することです。ログイン画面で「I forgot my PIN」または「PINを忘れた場合」のリンクをクリックすると、Microsoftアカウントでの本人確認が求められます。認証に成功すると、新しいPINを入力する画面が表示され、そこから簡単にPINを再登録できます。この操作は数分で完了し、多くのユーザーがこの方法で問題を解消しています。
対処法2：直近のWindowsアップデートを削除
PINエラーの原因が、最近インストールされたWindows Updateにある可能性もあります。特定の更新によって認証システムに不具合が生じたケースも確認されています。「Win + I」で設定を開き、「Windows Update」→「更新履歴」→「更新プログラムのアンインストール」を選びます。問題が発生した日付に近い更新プログラムを削除して、再起動後にログインを試みてください。設定画面にアクセスできない場合は、ログイン画面からShiftキーを押しながら再起動し、WinRE（Windows回復環境）を起動したうえで、同様の操作を行ってください。
対処法3：インストールしたばかりのアプリを削除
直前にインストールしたソフトウェアが原因でPINの認証が正常に機能しなくなるケースもあります。特にセキュリティソフトやドライバ関連のツールは、システム構成に干渉することがあります。「設定」→「アプリ」→「インストール済みアプリ」から最近導入したアプリを確認し、不要と思われるものを削除してください。PCが通常モードで起動しない場合は、セーフモードで起動してから作業を行うと安全です。
対処法4：NGCフォルダをリセットして修復
PINに関する情報は「C:\Windows\ServiceProfiles\LocalService\AppData\Local\Microsoft\Ngc」フォルダ内に保存されています。このフォルダに異常があると、PIN認証が機能しません。セーフモードで起動した後に、エクスプローラーでこのフォルダを削除してください。その後、PCを再起動すると、新しいPINの設定が可能になります。なお、NGCフォルダを操作するには管理者権限が必要になることがあります。
対処法5：TPM（セキュリティチップ）設定の確認とリセット
TPM（Trusted Platform Module）は、暗号鍵やPINなどの機密情報を安全に管理するチップです。TPMの状態に問題があると、PIN関連のエラーが発生することがあります。PCの起動時にF2またはF10キーなどを押してBIOS画面に入り、「TPM」または「Security Device」などの項目が有効（Enabled）になっているかを確認してください。有効であるにも関わらず問題が解消されない場合は、「設定」→「Windowsセキュリティ」→「デバイスセキュリティ」→「セキュリティプロセッサのトラブルシューティング」からTPMのクリアを実行し、再起動後にPINを再設定してください。
対処法6：Passwordless（パスワードなし）ログイン機能の無効化
パスワードレスサインイン機能が有効になっていると、パスワードによるログイン画面が表示されないことがあります。この機能を一時的に無効化することで、パスワードログインが可能になります。WinREから「コマンドプロンプト」を開いて「regedit」と入力し、レジストリエディタを起動します。
「ファイル」→「ハイブの読み込み」で「C:\Windows\System32\Config\SOFTWARE」を読み込み、任意の名前（例：NewKey）を設定した後、「HKEY\_LOCAL\_MACHINE\NewKey\Microsoft\Windows NT\CurrentVersion\PasswordLess\Device」に移動します。ここで「DevicePasswordLessBuildVersion」の値を「0」に変更し、ハイブをアンロードして再起動すると、パスワード入力欄が表示されるようになります。
対処法7：PCのリセットでシステムを初期状態に戻す
上記のすべての方法を試しても問題が解決しない場合、最終手段としてPCをリセットすることが検討されます。回復環境（WinRE）から「トラブルシューティング」→「このPCをリセットする」を選択し、「個人用ファイルを保持する」オプションを選ぶことで、個人データはそのままにシステム構成のみを初期状態に戻すことが可能です。再セットアップが完了した後、新たなPINを設定することで通常のログインに戻ることができます。
よくある質問への回答
Q1：なぜ急にPINが使えなくなったのですか？
→ 主にWindowsのアップデート、システム構成ファイルの破損、NGCフォルダの異常、TPM構成の不整合といった複数の技術的要因が影響しています。
Q2：パスワードログインに切り替えるにはどうしたらいいですか？
→ Passwordlessログイン機能をレジストリエディタで無効にすることで、ログイン画面にパスワード入力欄が表示され、パスワードによるログインができるようになります。
Q3：TPMとはどのようなものですか？
→ TPMはTrusted Platform Moduleの略で、暗号キーや認証情報を安全に保存・管理するための専用チップです。Windows Helloなどの認証機能に欠かせない重要な役割を担っています。
まとめ
「Your PIN is no longer available」というエラーに直面した場合、いきなりPCを初期化するのではなく、まずは簡単な手順から段階的に試していくことが重要です。PINの再設定やアップデートのアンインストールといった初期対応で改善するケースが多く見られます。もしそれでも解決できない場合には、NGCフォルダやTPMの確認、パスワードレス機能の調整などを実施してみましょう。それでもダメならPCのリセットという最終手段を検討し、トラブルを乗り越えて通常のログイン環境を取り戻してください。今後は大型アップデート後に不具合が起きる可能性を考慮し、復元ポイントの作成やバックアップの実施を習慣にしておくと安心です。
